カルティエは2021年に、スイス時計の売り上げにおいてオメガを抜いて2位に浮上し、最新の24年実績でもその地位を保っている(米モルガン・スタンレー調べ)。毎年スイスで開催される高級時計見本市ウォッチズ&ワンダーズ(WW)の会場で、ブランドのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)のアルノー・カレズ氏が朝日新聞の取材に応じた。

 ――今年の新作は1928年に発表され、「鉄仮面」の別名を持つタンク ア ギシェ。なぜこの名作をいま一度作り直そうと思ったのか?

今年の「カルティエ プリヴェ」として発表されたタンク ア ギシェ。プラチナのケースは時刻を表示する形状が異なる2種類。ほかにイエローゴールド、ピンクゴールドのケースのモデルがある。予価759万円~970万2千円

 2016年から時計コレクター向けのシリーズ「カルティエ プリヴェ」を発表してきた。プリヴェはカルティエのシンボル的な時計を、どのようにして現代のものとしてつなげられるかがテーマ。100年近く前にタンク ア ギシェが発売された当時も、非常に限られた生産数で特別なものだった。そうした特別なモデルだからこそ、よみがえらせたかった。

 ――カルティエは昔から女性向けの時計の市場では非常に強かったが、10年ほど前まで、男性向けは今のように強くはなかった。現在ではメンズ時計も「欲しいけれど買えない」という人気モデルがある状態になった。勝因は何か?

ビンテージのカルティエ時計も高騰

 男性向けであってもデザイン…

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