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女性医師のジェンダーギャップと闘っている大阪医科薬科大助教の河野恵美子さん=大阪府高槻市

記者コラム 「多事奏論」 編集委員・岡崎明子

 女友達だけでなく、同僚とも、取材相手とも。世代を超え「見ている?」と話題になるのが、NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」だ。私自身、朝はじっくり1人で、夜は小学生の娘と録画を見て、感想を言い合う。ここまでハマった朝ドラは、かつてない。

 この物語の何がここまで私たちの心を揺さぶるのか。昭和に生きる主人公の寅子(ともこ)たちが直面する生きづらさが、令和に生きる私たちにとって、ちっとも古くないことは理由の一つだろう。そう、私たちは、昭和99年を生きているのだ。

 大阪医科薬科大の消化器外科医、河野恵美子さんの物語を聞いて、その思いはいっそう強まった。

 医師の中でも激務の外科医は、女性の割合が1割にも満たない男社会だ。河野さんは2006年に長男を出産後、子育て支援日本一と言われる病院に就職した。だが、完全に「干された」という。

 「『24時間、365日仕事ができない人に患者の命を任せたらあかん』と言われ、主治医になることも、手術の執刀者となることもできませんでした」

 それ以上に悔しかったのが、2人の後輩が「妊娠」や「夫の転勤」を理由に、志半ばで辞めざるを得ない状況を止められなかったことだという。

 「もう二度と同じ思いをする女性を出したくない」と、学会で1人、子育てと仕事の両立をテーマに発表し始めた。陰口をたたかれ、孤軍奮闘が続いた。

 それでも少しずつ仲間が増え…

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