インタビューに応じるリノール・ゴラーリクさん=2024年4月25日

 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、終結の兆しが見えない。ウクライナ出身で幼少期にイスラエルに移住したユダヤ系作家のリノール・ゴラーリクさんは、侵攻に反対の立場から発信を続けてきた。だが、23年10月のイスラム組織ハマスの奇襲攻撃を発端に、イスラエルがパレスチナ自治区ガザに侵攻を続ける。いま、自身に降りかかった「二つの戦争」をどうみているのか。

 リノール・ゴラーリク 1975年、旧ソ連ウクライナ生まれ。89年に家族でイスラエルに移住し、2000~14年にはモスクワで暮らした。現在はイスラエルから詩や小説などをロシア語やヘブライ語、英語で発表し、画家や彫刻家としても活動。動物のモチーフなどを駆使した幻想的な作風で知られる。23年8月、ロシア政府から反政権派の市民団体や文化人を名指しで指定する制度「外国の代理人」の一人に加えられた。

 ――ロシアのウクライナ侵攻を受け、22年4月にオンライン雑誌「ROAR」(Resistance and Opposition Arts Review、抵抗と不服従の芸術批評)を立ち上げました。

 私には戦争を止めることはできない。でも、何かをしなくてはならない。そんな思いで、企画をスタートしました。侵攻に反対するロシア語圏の詩人や小説家、画家らの作品を集めて隔月で公開しており、これまで500人以上の作品を紹介しました。

 ロシア語やウクライナ語、英語で発信しており、日本語にも一部翻訳されています。雑誌を通して、この戦争への私たちの怒りを世界に鮮明に示すことができたと考えています。

プーチン氏の支持率、なぜ高い?

 ――ロシアのプーチン大統領は侵攻以来、おおむね80%台の支持率を保ち、今年3月に通算5期目の再選を果たしました。なぜ国民からの支持が堅いのでしょうか。

 思うに、ロシアの民衆が体制…

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