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選挙戦最終日、参政党の神谷宗幣代表の街頭演説に集まった聴衆と、参政党の主張に抗議のプラカードを掲げる人々(手前)=2025年7月19日午前8時1分、新横浜駅前、足立朋子撮影
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 20日に投開票された参院選で、参政党が伸長した。自民、立憲民主、共産、れいわ新選組など10人の候補者が立った広島選挙区で、参政党の候補者に票を投じた30人にその理由や支持した政策を聞いた。

 「参政党は日本人ファーストを大きく掲げています。なんで日本人ファーストをうたっているかというと、我々日本人の暮らしを立て直したいからです」

 公示翌日の4日、参政党の神谷宗幣(そうへい)代表(47)はJR広島駅前でマイクを握ると、そう訴え始めた。選挙カーの周りには約400人が集まっていた。

参政党の伸長に対して、識者は「選挙は政策全体で判断すべきだが、目立つ訴えのみで投票した人もいるのでは」と懸念を語ります。記事では、新憲法案の内容などで批判を呼ぶ参政党に支持が集まった理由を探ります。

 改選数2の広島選挙区には、参政新顔の小石美千代氏(56)ら10人が立候補した。神谷代表の応援を受けた小石氏は落選したものの、自民新顔の約40万票、立憲現職の約30万票に次ぐ約25万票を集めた。小石氏の得票は、ほかの7人の候補者の得票合計を上回るものだった。

 記者は、参政党が支持を集める理由を探ろうと、期日前投票所の前で話を聞いた。

 初めて国政選挙に来たという広島市中区の男性会社員(43)がいた。

 これまでは、どの党がやっても何も変わらないと、政治に無関心だった。しかし、最近の物価高に加えて、大学生と高校生の子ども2人の学費や塾代がかさむように。生活に余裕がなくなり、「自分の力ではどうにもならない。政治から変えないと何も変わらない」と思うようになった。

 自動車関連会社で正社員として勤めながら、数年前から個人で清掃関連の副業を始めた。それでも、税金や社会保険料を納めると、手取りは月20万円ほどしか残らない。

 男性は神谷代表と同じ、就職氷河期世代。自身は運良く就職できたが、今も非正規で暮らしをつなぐ友人がいる。知り合いの高齢者から「(社会保障制度が行き詰まり)あなたの世代は年金はもらえないかもしれないね」と言われたこともあった。こんな社会でいいのか。そんな不満を募らせていた半年前、参政党の存在をネットで知った。

 ユーチューブで、神谷代表は「中小企業は賃上げの恩恵を受けていない」「税金や社会保険料を減らさなければ、手取りは変わらない」と訴えていた。男性は「気になることをわかりやすく言葉にしてくれている」と共鳴した。

 神谷代表は選挙中、「私たちが子どもの頃は将来はもっと日本は良くなるという展望があった。今はそれがなくなっている」「(減税など)無理だ、無理だと言って、今この現状。参政党は無理だと言わない。みんなでやるんだ、できるんだという強い気持ちを取り戻す」と主張した。

 参政党は5年前、ユーチューブで集まった約3千人で結成した。神谷代表は街頭演説で、そんな党のストーリーに触れ、「ネットで作った国民中心の手作り政党です。皆さんの希望をかけて下さい」と呼びかけた。

 男性は「参政党が何を実現してくれるのか不透明なところはあるが、批判ばかりの野党とは違い、社会を良くしようというエネルギーを感じる」と言う。「日本人ファーストは外国人差別とみられかねない」としつつも、「外国企業が増えれば日本企業が苦しくなりかねない。そういう意味では、まともな考えだと思う」とも語った。

参政党の九つの政策、30人中20人が支持したのは…

 参政党は今回、減税や「行き過ぎた外国人受け入れに反対」、教育給付金など九つの政策を掲げた。小石氏に投票した人に支持する政策を二つ選んでもらった。

 その結果、減税を挙げた人が…

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