「検察に問題はなかった」――。死刑囚だった袴田巌さん(88)の無罪確定までを検証した報告書を最高検が26日に公表した。ただ、再審判決が認めた「捏造(ねつぞう)」については強く反論し、専門家からは「自己弁護だ」との批判の声があがった。
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「検察官が証拠を捏造したとの判断は、不合理と考えています」
同日の会見で、最高検の山元裕史次長検事はこう語った。捏造を否定してきた検察の立証活動は「問題ない」と強調した。
最高検は無罪の確定後、記録や当時の捜査資料などをもとに検証を進めてきた。当時の検察官らについては「聴取可能な人はいなかった」(山元次長検事)という。
9月の再審判決は、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」など捜査機関による「三つの捏造」があった、と指摘した。
これに対し、判決後の畝本直美・検事総長の談話は「客観的な時系列や証拠とは明白に矛盾する」などと強烈な不満を表明。この日の報告書も、判決が捏造を認めたことに対し「合理的な根拠を欠いている」などと、真っ向から反論する言葉が並んだ。
課題も指摘したが
報告書は、衣類の発見後から…