Smiley face
写真・図版
現職に新顔5人が挑んだ横浜市長選=2025年7月22日、横浜市中区、足立朋子撮影

 現職の圧勝に終わった横浜市長選から1週間。経済界や主要政党が現職支持を打ち出すなか、選挙戦に名乗りを上げた候補の中には、行政や政治の経験が全くない3人がいた。無謀にも思える勝負になぜ挑んだのか。初めての選挙戦でどんな景色が見えたのか。日常に戻った3人に聞いた。

「30万票で当選」のはずが…

 まず訪ねたのは、候補者の中で最も早く3月に立候補を表明した小山正武さん(76)。迎えてくれた会社の役員室にはユニクロのスーツがぶら下がっていた。丸洗いしやすく、汗だくの真夏の選挙で重宝したという。

 新潟から横浜へ来て修業し、28歳で業務用野菜の販売を始めて半世紀。自身の事業は成功したが、財政や防災、学校給食などで市の政策に物足りなさを感じた。「商人感覚をもって横浜の中で経済を回す」と市長選に打って出た。

 結果は最下位。「30万票以上は取って当選すると考えていたけれど、実際は10分の1だった」。首長は経験豊富な人こそ力を発揮できると思うのに、「高齢の人はダメ」とレッテルをはられ、自信を持っていた政策を聞いてもらえなかったと感じた。それが悔しかった。

 「ポスターで顔や年齢だけ見て決めちゃうのはどうなのか。立候補すれば政策を知ってもらえると思っていたけれど違った。市長選でも政見放送ができたらいい」

 再チャレンジすると80歳を超えるので、今後は自分なりの方法で市政を支えたい。「まずは運営している保育所の定員をもう少し増やしたいと思います」

選挙で感じた「立候補した責任」

 次に会ったのは、15万票近…

共有