Smiley face
写真・図版
奈須正裕・上智大学教授=2025年3月19日、東京都千代田区、宮坂麻子撮影

 昨年12月に文部科学相から次期学習指導要領の諮問を受けた中央教育審議会。その中教審の教育課程部会長で、学習指導要領や教育課程編成、指導法にも詳しい上智大学総合人間科学部教育学科の奈須正裕教授に、今回の改訂のポイントと今後について聞いた。

 ――次期改訂で大きく変わるところは。

 まだ議論中でどうなるかわからないので、個人の意見として話します。

学力とは? 知識とは? 問われる知識の質

 今回の諮問文に「現行学習指導要領の理念や趣旨の浸透は道半ば」とあります。「道半ば」ということは、今後もその道を歩んでいくわけで、引き返すわけでも、違う道を選ぶわけでもない。つまり、今回の改訂では、大筋は現行の教育を続けていくということでしょう。

 2017~19年にかけて改訂された現行学習指導要領の大きな柱は、資質・能力を基盤とした学力論、つまり学力とは何かの見直しです。

 「社会に開かれた教育課程」を理念に掲げ、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という三つの資質・能力の柱を示しました。「何を学ぶか」だけでなく「何ができるようになるか」が重要で、「主体的・対話的で深い学び」の視点での授業改善が必要だとされました。何のために子どもに知識を教えるのかを問い直したわけです。

  • 小学校で40分授業、午前を5時間制 視察した校長のため息の理由は
  • 朝日新聞無料セミナー「学校主体の新たなカリキュラムとは~次期学習指導要領の展望と先行実践」開催します

 生涯で経験する様々な問題を解決できる力を育て、人生のウェルビーイングにつなげるための知識であるはずが、いつしか所有量が目的化していた。知識は重要ですが、ただ所有しているだけでは問題解決はできません。

 知識の質が大切です。組み合…

共有