「散髪屋さん行ってくる」。兵庫県に暮らして36年。よく聞くので、関東育ちの私はへ~っと思ってきた。父がいつも行っていたのは「床屋さん」だったから。
法律上は「理容所」
関西では「散髪屋さん」と呼ぶ人が多い? 取材先で男性に聞いてみた。大阪育ちの27歳は「床屋さん? 言ったことないです。髪を切るところだから散髪屋さんですよね」。兵庫県西宮市の50歳は「子どものころ、散髪屋さんに行くとアメちゃんもらえたなあ。床屋さんて江戸っぽい響きやね」。同県尼崎市の51歳は実家が美容院。「僕は美容院に通っていますが、『散髪屋さんに行く』と言いますね」
法律上、理容師が理容行為をする場所は「理容所」だが、理容店や理髪店、ヘアサロン、バーバーなどと名乗る看板も目立つ。でも、ふだんの会話に出てくるのは散髪屋さんか床屋さんが多いのでは。
興味深い調査がある。全国理容生活衛生同業組合連合会が全国で聞き取り、ホームページに載せた結果を見ると、床屋はおおむね北海道から東北、関東、東海、北陸、九州に多く、散髪屋は近畿、中国、四国、沖縄に多い。両方使うこともあり、例外はあるが、「ほぼ東海北陸地方と近畿地方の間を境界線として全国を二分する」と同連合会はコメント。地域差の理由はわからないという。
「関西ではやはり、散髪屋さんですね。庶民的な響きがします」と話すのは、兵庫県理容生活衛生同業組合の宮城丈二理事長(67)。散髪という言葉からは髪をカットすることが自然にイメージでき、散髪に行くところだから散髪屋さんといって親しまれているのではと。
同組合発行の「兵庫理容史」…