国宝の金堂や五重塔の近くで放水訓練をする消防団員ら=2025年1月26日午前、奈良県斑鳩町の法隆寺、田辺拓也撮影

 「文化財防火デー」の26日、奈良県斑鳩(いかるが)町の世界遺産・法隆寺で防火訓練があった。

 戦後まもない1949(昭和24)年1月26日、法隆寺金堂で火災が起き、東アジア仏教美術の至宝とされた壁画が焼損し、色彩が失われた。翌年に文化財保護法が、55年に文化財防火デーが制定されるきっかけとなった。

 この日は、古谷正覚(しょうかく)管長らが金堂内と焼損壁画の収蔵庫入り口付近で法要を営んだ。境内の鏡池前では、消防団員らによるポンプ車を使った放水訓練もあった。

 古谷管長は「毎年この日を迎え、心を新たにして災害が起こらないように願い、文化財を現代の姿のまま次世代に引き継ぎたい。将来は収蔵庫の焼損壁画を見ていただき、文化財の大切さと災害の恐ろしさを知っていただけたら」と話した。

 朝日新聞社と法隆寺はこの日、焼損した金堂壁画の一般公開に取り組む「法隆寺みらいプロジェクト」を立ち上げた。焼損壁画を保管する収蔵庫を公開できる形に改修し、境内の防災設備の更新も目指す。

共有
Exit mobile version