Netflix映画「新幹線大爆破」から

 Netflix映画「新幹線大爆破」の配信が始まった。東映が高倉健を主演に据え、1975年に公開したパニック映画のリブート作品。メガホンをとったのは、樋口真嗣監督。近年は映画「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」を手がけたリブートの名手でもある。

 原作の公開当時、樋口監督は小学4年生。初日に学校をさぼって見に行ったという。

 「元々、怪獣映画が好き。怪獣そのもの以上に、建物や社会が壊れていくのを見て喜んでいたんです。『新幹線大爆破』もその『怪獣抜き』版だと思って」

 東海道・山陽新幹線の下り「ひかり」109号に仕掛けられた爆弾は、走行速度が時速80キロを下回ると爆発する。

 犯人グループのリーダー(高倉)は巧みに捜査をくぐり抜け、警察は解決の糸口をつかめない。

 業を煮やした宇津井健演じる国鉄職員たちは、自力での解決を図り、ついに爆弾を解除する。

 「その点では期待外れでしたよね。『爆発しねえじゃん』って」

 ただ、濃密な人間ドラマが子ども心にも刺さった。

 「宇津井健さんの役の格好良さや、高倉健さんたち犯人側のやりきれない結末。外れた期待を埋めて余りあるものでした」

最近の事件やスキャンダルを

 リブート作の舞台は、東北新幹線上り「はやぶさ」60号。今度は時速100キロ以下になると爆発する仕掛け。「起きる事件は全く同じ」なのだという。

 「変わったのは時代背景です。50年で新幹線のスピードはこんなにも速くなり、何がエゴイスティックかという価値観も全く違うものになった」

 原作で描かれた、名も無き乗客たちの物語は高度成長期の空気を体現していた。「新幹線は社会の縮図。最近の事件やスキャンダルを思わせる乗客を描きたいと思った」

 それゆえ重心は乗客の描写に移り、主役は乗客のケアにあたる車掌(草彅剛)となった。見せ方は変われど、「物語の組み立て方は変わらない」というわけだ。

誰も知らない作品に投資できるかは別の話

 樋口監督には、平成「ガメラ」シリーズをはじめ、リブートやリメイク作にも数多く携わるイメージがある。そう伝えると、ぽつりと応じた。

 「でも本当は、あれですけど…

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