沖縄県知事を務めた大田昌秀(おおたまさひで)氏(在任1990~98年)と、翁長雄志(おながたけし)氏(同2014~18年)を主人公に、米軍基地問題をめぐる日本政府と沖縄のせめぎ合いを描いたドキュメンタリー映画「太陽(ティダ)の運命」が、4月19日から全国で順次公開される。制作したTBS社員で映画監督の佐古忠彦(さこただひこ)氏は「日本政府と対峙(たいじ)した2人を通して、日本社会のありようを考えてほしい」と話している。
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大田氏は1995年に起きた米兵少女暴行事件を機に日米政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の返還に合意した時の知事。学徒隊として沖縄戦を生き延びた経験を持ち、戦後も沖縄に米軍基地を集中させる日本のありように異議を唱えた。普天間の移設先が名護市辺野古に決まると反対し、政府と対立した。
翁長氏は自民党県連幹事長も務め、大田氏と対立したこともあったが、民主党政権以降は「辺野古反対」を明言し、政治勢力「オール沖縄」の中心軸となった。14年の知事選で初当選すると、その前の仲井真弘多(ひろかず)知事が行った埋め立て承認を取り消すなど政府に対抗した。
4月19日から全国上映開始
映画は129分。当時のインタビュー映像や側近の証言などから、2人が知事として政府と闘い苦悩する姿が描かれている。
沖縄では3月22日から先行公開されている。全国公開は4月19日に東京都渋谷区の「ユーロスペース」での上映を皮切りに、大阪や福岡、愛知など各地の劇場での公開が決まっている。佐古監督による映画は、2017年公開の映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」などに続き4作目となる。