連載「HANABI」第9部 海外へ向かう大曲(4)
「海外とビジネスをするなら、ニューヨーク(NY)よりも大曲ね」。そう言って、米NY州出身のエレン・カーツ(25)は目を輝かせる。
2月、秋田県大仙市の「響屋大曲煙火(ひびきやおおまがりえんか)」に就職し、国際事業部に配属された。2022年に国際教養大(秋田市)へ留学。日本の暮らしが気に入り、求人サイトで語学力を生かせる会社を探した。それが、海外に展開する響屋だった。
スペインとの取引を担当している。通訳、翻訳に貿易制度の調査と業務は多岐にわたる。「失敗できない。緊張します」と胸に手を当てる。
23年春、社長の斎藤健太郎(45)は地中海のマルタ共和国で開かれた国際花火シンポジウムで、フランスの業者から「EUではスペイン」と、その実力を聞いていた。
製造能力は50倍
近年、世界の花火は大量に速…