星野リゾートの星野佳路代表。青森県十和田市の同社ホテルで2025年度の入社式にのぞみ、最近の観光の状況について語った

 2024年のインバウンド(訪日外国人旅行者)は前年比47・1%増の3686万9900人となり、コロナ禍前を上回る過去最多となった。国内外にホテルなど71施設を運営する「星野リゾート」(本社・長野県軽井沢町)の星野佳路代表が、同社の入社式があった青森で大阪・関西万博の開幕も控えた観光の展望を示す一方、海外観光客の日本への高評価がこの1年で急変している状況もあると危機感も語った。

需要過多と供給過多は繰り返す

 ――ホテル業界では新規開業が増えています。

 日本はバブル経済の頃に次々と新しい宿泊施設ができたため、長く供給過剰な状態でした。それがインバウンドで需要過多に転じ、再び新しい施設が出来るようになりました。

 しかし大事なのは、需要過多と供給過多は繰り返す、ということです。新しい施設の短期的な集客だけでなく、長期的にどうやって競争力を維持していくのか。需要過多と供給過多を繰り返さないような、しっかりとした開発をしていくことが大事でしょう。

 ――大阪・関西万博が間もなく開幕します。ビジネスチャンスとして生かす方策は?

 万博は期間が限られているため、観光の盛り上がりは一時的で、継続はしないでしょう。なので、万博をきっかけに、大阪や関西地域を知ってもらう機会を作ることが大事だと考えています。

 「万博がなければ大阪には行かなかった」という人がたくさんいると思います。万博会場だけで帰ってしまうことを避け、会場以外の大阪の普段の魅力を知ってもらい、万博が終わった後も、大阪・関西に戻って来る人をどれくらい増やせるかが、地域にとって重要な課題だと思います。

悪評はあっという間に世界中に伝わる時代に

 ――クルーズ船の寄港や国スポの開催などにも共通する課題ですね。

 そうですね。会場だけ盛り上がって、市内に効果が波及しなかった、とならないように、食や観光拠点が連携していくのは大事です。

 前回1970年の大阪万博で…

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