「日本一の下克上」。再び、この言葉が聞けるかもしれない。7年前の夏、甲子園をわかせた白山(三重)の元主将が、監督として高校野球のグラウンドに戻ってきた。
今春、相可(三重)の監督に就任した同校非常勤講師の辻宏樹さん(24)。かつて仲間と共に甲子園への扉を開いた。
「下克上球児」としてドラマ化
2018年の第100回選手権記念三重大会で、辻さんは16年まで10年連続初戦敗退だった白山の主将で捕手、4番打者として、チームを初優勝に導いた。
「日本一の下克上を達成できました」
優勝決定後のインタビューで辻さんが叫ぶ姿は共感を呼び、チームが成長するその姿は「下克上球児」のタイトルでテレビドラマになった。
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だが、その後は順風満帆ではなかった。卒業後に進んだ愛知産業大学では、挫折を味わった。
全国の強豪校から入学した同期生は30人余。芽が出ず、2年間の選手生活で公式戦出場はゼロ。3年で学生コーチ、4年になると退部した。
「高校で燃え尽きたのかもしれない」。そんな思いがぬぐえなかった。
それでも、覚えていた甲子園
それでも、あの日、甲子園で…