北海道内は23日、174の観測地点のうち33カ所で35度以上の猛暑日となった。熱中症警戒アラートが、石狩・空知・後志地方、網走・北見・紋別地方、釧路・根室地方、十勝地方に出され、また、11地点で、観測史上1位の暑さを記録した。
札幌管区気象台によると、午後3時までの最高気温は、美幌町で38.2度、佐呂間町で37.9度、津別町で37.6度。いずれも平年より12.3~13.7度高い気温だ。
午後5時までに熱中症の疑いで救急搬送されたのは50人で、22日の47人を超えた。斜里地区消防組合によると、午前6時半ごろ、斜里町内の住宅から90代の女性が搬送され、病院で死亡が確認された。熱中症とみられる。消防が駆けつけた時、室内は暑く、女性の体温も上がっていたという。斜里町はこの日、7月としては観測史上最高の36.8まで気温が上がった。
「日本一寒い町」をアピールする北海道陸別町。道の駅オーロラタウン93りくべつに設置されている温度計は正午に35度を示した。「こんなに暑い夏は記憶にない」と町で暮らす女性(62)は驚く。昨日は外の花壇に水やりをしたが、経験したことのない酷暑に「ちょっと地獄だった」。
大空町の道の駅近くに住む新村海玲(みれい)さん(24)は、酪農関係の仕事で農場を巡回しているという。「汗だくで仕事をする日々。牛も人と同じくらいバテてる」
札幌市でも、33度を超えた。
急きょ午前授業になったという札幌市内の高校生、佐藤里菜さん(16)は「学校はクーラーがないからめっちゃ暑いです」と嘆く。
道教育委員会によると、熱中症対策のため臨時休校となったのは、道内で50校。下校時間が繰り上げとなった学校は299校にのぼった。24日も道内48校で臨時休校、234校で下校時間の繰り上げが予定されている。
北海道ではエアコンがない家も少なくない。
仕事の休憩中に外に出た札幌市の会社員坂下恵亮さん(46)は「さすがに暑いです。そろそろ地下にもぐろうかな」と苦笑した。自宅にクーラーはなく、寝苦しい夜が続いているという。
JR北海道は、暑さによるレール点検作業のため、北見・網走方面を発着する特急や普通列車を十数本、運休した。24日午後もオホーツクや道東で運休する列車が出る恐れがある。
なぜ、こんなに暑いのか。
太平洋高気圧に覆われてよく晴れ、日射の影響で気温が上がったことや、上空の暖かい空気が入り込んできたことが挙げられる。特に道東では、フェーン現象によって気温が上がったという。
気圧の配置は24日まで変わらず、24日も気温が上がる見込みだ。帯広市では40度、北見市で39度などが予想されている。25日には気温は下がるものの、平年より高い気温が続くとされ、熱中症には引き続き注意が必要だという。