参院選の投開票から一夜明け、街頭でマイクを握る参政党の神谷宗幣代表=2025年7月21日午後5時17分、東京都港区、堅島敢太郎撮影

 今回の参院選では、自民、公明両党が惨敗する一方、参政党や国民民主党などの新興勢力が大きく議席を増やしました。有権者は何を期待し、今回の結果は日本社会に何をもたらすのでしょうか。新興政党や有権者心理に詳しく、街頭演説を見てきた秦正樹・大阪経済大准教授に聞きました。

 ――参院選の結果をどう受け止めますか。

 自公が沈没する一方、参政や国民民主が政権批判票の受け皿になったとみています。逆に、比例票が伸び悩んだ立憲民主党は受け皿になれませんでした。

 私が選挙前に4千人ほどに行った有権者調査では、立憲への拒否度はそこまで高くなかった。つまり、立憲は嫌われているわけではなく、(政権批判票の受け皿の)選択肢にすら入っていなかったのではないか、と思います。

  • 参政党の演説に足止めた人々の「好感度」 追跡して見えた複雑な心境
  • 参政党「日本人ファースト」への熱気 街で聞いた支持する理由と不安
大阪経済大学の秦正樹准教授=大阪市東淀川区大隅、池田伸壹撮影

 ――参政は東京や大阪などの選挙区でも議席を得ました。急速に支持が広がった背景をどう分析しますか。

 いろいろな理由が考えられます。朝日新聞の世論調査では、今年4月の参政の支持率は1%で、当時はあまり注目されていませんでした。

 それが、参院選の出口調査などをみると、参政は若者だけでなく、高齢者からもある程度支持されています。SNSだけでなく、テレビなどのマスメディアの「力」によるところもあると思います。

 ――どういうことでしょうか?

 参院選直前に所属国会議員が5人に増え、国政政党の二つの要件を満たしたことで、テレビの討論番組などに出られるようになり、露出も増えました。鋭い言葉を使う演説と比べてマイルドな主張を展開し、幅広い層に党の存在をアピールしていた印象です。

 選挙期間中は、メディアが外国人をめぐる問題を積極的に取り上げ、参政に批判的な記事やファクトチェック記事も多く出ました。逆に、メディアが議題設定したことで党の主張が取り上げられ、広く浸透する結果になったとも言えます。

ある種の否定しがたい主張

 ――参政の支持者はなぜ「日本人ファースト」の主張にひかれたのでしょうか。

 「日本人ファースト」は、マ…

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