父親と手話で会話する原告の女子生徒=2024年5月11日、札幌市、上保晃平撮影

 聴覚障害がある北海道札幌聾(ろう)学校の小学生ら2人が第1言語の「日本手話」で授業を受けられなかったのは違法だとして、道に各550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審が23日、札幌高裁(斎藤清文裁判長)で始まった。原告の一人で、いまは別の中学校に通う女子生徒(14)の本人尋問が行われるかが、焦点となる。

 一審・札幌地裁判決は、日本手話で教育を受ける権利は、憲法で具体的に保障されているわけではないと判断し、原告側の請求を退けた。

 日本手話と一部の語彙(ごい)が同じ「日本語対応手話」や、他のコミュニケーション手段を使えば、「一定の水準の授業を提供することが可能」と判示した。

 控訴した原告側は、日本手話は独自の言語体系を持つため、日本語の文法に沿った日本語対応手話とは異なると改めて主張。女子生徒が受けた授業の録画映像を新たに証拠として提出し、日本語対応手話では授業が成立していないと訴えた。

 一審では認められなかった女子生徒の本人尋問も実施するよう求めた。今後、高裁が道側の意見も踏まえて判断する。

 道側は、控訴を棄却するよう求めている。

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