トランプ米政権の高関税政策の影響で、米国で自動車が売れている。関税で値上がりする前に買いたい「駆け込み需要」が高まったためで、3月は多くのメーカーが販売を伸ばした。だが、関税発動前の在庫はなくなりつつある。今後の価格転嫁の動向次第で市場が急速に冷え込む恐れもあり、関係者は神経をとがらせている。

 米東部ニュージャージー州に住むローハン・ミトラさん(37)は、3月初めにホンダの黒い「シビック」を買った。8年乗った前の車は、通勤や休暇の長距離ドライブで16万キロ走り、クラッチに不具合が出始めていた。

 部品を交換してまだ乗るか、買い替えるか。悩んでいた1月、再登板したトランプ大統領がメキシコやカナダ、中国への関税策を打ち出した。

 「きっと鉄は中国製だし、関税の対象は広がる」。ミトラさんはそう考え、購入を決めた。価格は3万1千ドル(約450万円)だった。

 予想通り、トランプ政権は4月初め、輸入車に25%の関税を発動。ミトラさんは「かなり驚いた。早く買い替えを決めてラッキーだった」と話す。

ニューヨーク国際自動車ショーで、スバルが発表した新しい自動車を見に集まる人たち=2025年4月16日、杉山歩撮影

 調査会社マークラインズによ…

共有
Exit mobile version