労働弁護士は厳しい言葉を連呼した。「話にならない」「明らかに異常」「最悪の対応」「決定的にまずい」――。中居正広氏とフジテレビのアナウンサーだった女性とのトラブルについて、第三者委員会の調査報告書は「業務の延長線上」の性暴力と認定した。「プライベートな問題」として必要な調査などを怠ったフジの対応を、日本労働弁護団の佐々木亮弁護士はインタビューでこう批判した。「100%労働問題だ」
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――フジ上層部の対応について、報告書では「プライベートな男女間のトラブル」と「即断」し、十分な調査をしないなど「会社の危機管理としての対処をしなかった」と断じました。労働問題の観点から、どう捉えますか。
「時系列的にいくつかポイントがある。(中居氏と女性が)知り合った時点、性暴力があった時点、その後の対応だ。知り合った時点と性被害があった時点は仕事とのつながりが深ければ労働問題になる可能性がある。一方、その後の会社の対応は100%労働問題。仕事関係のなかで性暴力を受けたと会社に申告したところから、労働問題としてスタートしている。また、中居氏はフジからみると取引先にあたる。カスタマーハラスメント(カスハラ)の対象には取引先も含まれる。カスハラにあったのに企業が守らなかったという事案とも言える。そういう意味でも労働問題だ」
従業員からハラスメント被害の訴えがあった場合、企業はどう対応すべきなのか、フジ問題は労働災害にあたるのかどうかなどについて、記事後半で聞きました。
――報告書では「安全配慮義務」という言葉が複数回出てくる。労働契約法などでは、会社は労働者が健康で安全に働けるよう、必要な配慮をする義務があると定めているが、その義務に照らしてフジの対応はどう不適切だったと言えますか。
「安全配慮義務には、事前に…