思いっきり、暴れてこい――。先発のマウンドに送り出された伊勢崎清明のエース佐藤碧(あお)(3年)はチームで「暴れ馬」と呼ばれる。13日の2回戦の相手は、昨年秋の関東大会ベスト8で優勝候補の一角に挙がる東農大二。強豪を相手に、気持ちの乗った投球で、暴れた。

 「ストライクゾーンに気持ちをこめて投げるだけ」。守備陣は堅く、打たせて取れるという安心感があった。一、二回は打者3人ずつで抑えた。そして五回まで2失点。打線は、大会注目の東農大二のエース山田琉聖(3年)から3点を奪い、試合前半はリードして折り返した。

 佐藤はスピンの利いた直球が持ち味で、感情を前面に出した強気の投球で打者に向かっていく。高田繁監督(40)は「佐藤は劇場型。自分でピンチを背負って、自分で抑える」。勢いがあり、制球も定まらなくなることもあるが、的が絞りづらい。「暴れ馬」ぶりは、強い武器となる。

 しかしクーリングタイム後の六回、3巡目に入った相手打線につかまった。2四球に2安打とスクイズで3点を奪われた。

 チームの目標は「甲子園」、現実的な目標として「ベスト8」を掲げていた。その目標を目前に敗れた。

 「前半は自分らしい投球ができた。暴れたのは、三振を奪ったときやピンチを乗り切ったとき。自分の良さが出てたかなと思う」と佐藤。「高校野球生活は短かったが、しっかり気持ちが入った自分らしいプレーができて良かった」。涙はなかった。

シード前橋育英、東農大二、利根商など3回戦へ

 第107回全国高校野球選手権群馬大会(朝日新聞社、群馬県高校野球連盟主催)は13日、3球場で2回戦6試合があった。前橋育英が明和県央に、利根商が市前橋に、それぞれコールドで勝利し、両シード校が初戦突破。伊勢崎清明は昨年秋の関東大会ベスト8でシード校の東農大二から先取点を奪って前半を優位に進めたが、後半に力尽きた。館林商工は藤岡北に、中央中等は伊勢崎商に、1点差で勝利した。太田東は新田暁に快勝。14日は2球場で2回戦4試合が予定されている。

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