患者の自宅で入浴介助などをする訪問看護師を対象とした「護身術セミナー」が21日、警視庁小岩署(江戸川区)で開かれた。高齢化で訪問看護師の需要が高まっている一方で、患者からの暴力や暴言を受けるケースも増えているといい、看護師らが適切な対処法を実技も交えながら学んだ。
同署の生活安全課員らが講師を務め、地元の訪問看護師約40人が参加した。訪問看護の現場は、患者の自宅内のため、暴力やハラスメントが表に出にくいとされる。参加者によると、「不機嫌になり、杖を振り回された」「物を投げつけられてケガをした」といった事例があったという。
セミナーでは、こういった被害を受けた場合は毅然(きぜん)と対応し、その場を離れてすぐに警察へ連絡することを求めた。不意に手首をつかまれたり、抱きつかれたりした時の逃げ方などを実演し、参加者も2人1組になって身の守り方を練習した。
参加した稲尾千聖さん(25)は、「護身術を初めて学んだ。困ったら警察に迷わず相談したい」。河内良夫署長は「訪問看護の需要は今後さらに高まる。少しでも安心安全な仕事の力になれれば」と話した。