(15日、第107回全国高校野球選手権秋田大会3回戦、秋田商11-4横手=8回コールド)
中学の途中まで、進学先は秋田商と決めていた。横手の横山達海主将(3年)は最後にその秋田商に敗れ、「強かったです」と脱帽した。
三回無死、三塁前にうまくバントを転がし、出塁を狙った。前の打者が本塁打を放った直後。初球から虚を突いた。だが、アウト。「三塁手のチャージがすごかった。秋田商は1球に対する集中力が違いました」
進路の考えが変ったのは、二つ上の姉が横手のマネジャーになったから。観客席で応援するうちに試合ぶりにひかれた。秋田商の有力選手と戦ってみたい、といった闘志も芽生えたという。
チームを引っ張るのは大変だった。今春の県大会は8強で敗退。コーチに言われた。「変わるなら今しかない」。ノックでのミスをゆるがせにしないなど、ネジをまき直したのはそれからだ。
チームを勝たせることができなかったのは、つらい。けれど、横手に入ったことに後悔はない。
「頼りないキャプテンにみんな最後までついてきてくれた。このことは、一生の宝物になると思います」。こう話したときだけ、表情に少し明るさが戻った。