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AIGジャパン・ホールディングスの広報・マーケティング部門統括責任者の林原麻里子執行役員=2025年7月3日午後2時9分、東京都港区、森下香枝撮影

 「望まない転勤」をなくしていこうという動きが、大企業などに広がりつつある。転勤が人材流出を招くとの危機感からだ。社員の希望をどう反映させるのか。支店網などをどうやって回していくのか。

 外資系金融大手のAIG損害保険(東京)は6年前、「ワーク・アット・ホームベース」と名付けた人事制度を導入した。転勤の有無や勤務地をすべて、社員の選択制にしたのだ。

 導入のきっかけは、2018年のAIU損害保険と富士火災との合併だった。

 合併を控え、グループ各社の人事制度を一本化する必要に迫られた。当時、金融業界の総合職は全国転勤が当たり前で、単身赴任も多かった。そのなかで、「子どもの学校の都合、親の介護、自身の病気療養などで『転勤できない』と離職する人が増えていた」と、広報・マーケティング部門統括責任者の林原麻里子執行役員は振り返る。

 本当は辞めたくないのに去っていく社員もいれば、個人的な理由で転勤を免除された社員が肩身の狭い思いをすることも。一方、実態調査すると、転勤せずに同じ地域に居続けている社員も多数いた。

 そこで、ライフステージなどによって転勤の有無を選択できる制度への転換が図られたという。

 どんな制度なのか。

「望まない転勤」による離職者をなくそうと、AIG損保は社員が転勤を選べる人事制度に見直したところ、予想を超える「効果」が……。記事後半ではニトリ、三井物産、東京海上日動の取り組みを紹介します

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