韓国の釜山港から約2週間かけて大阪南港に到着した朝鮮通信使の復元船=2025年5月11日、大阪市住之江区、中野晃撮影

 江戸時代に朝鮮王朝が日本に派遣した外交使節団「朝鮮通信使」の船が復元され、韓国の釜山から約2週間の航海を経て11日、大阪に着いた。通信使船の大阪への接岸は261年ぶりとなった。

 復元船は、韓国の国立海洋遺産研究所が建造した木造ディーゼル船。全長34・5メートル、幅11・5メートル、総トン数149トン。当時の記録や資料を基にして、通信使の航海を再現するおよそ10年がかりのプロジェクトで、4月28日に韓国南部の釜山を出港した。

 対馬や壱岐を経て瀬戸内海に入り、鞆の浦(広島県)や牛窓(岡山県)などかつての通信使の寄港地に立ち寄りながら、11日午後に大阪南港のアジア太平洋トレードセンター近くに接岸。乗員は上陸すると、「ついに来ました」と声をあげ、航行の成功を喜んだ。

 海洋遺産研究所の洪淳在(ホンスンジェ)さん(53)は「突風や高波にも遭い、先祖の通信使の苦労を実感しましたが、寄港地では笑顔で出迎えて頂きました。朝鮮通信使は平和外交や文化交流に尽くした使節団ですが、この復元船が韓日の新たな架け橋となり、笑顔に満ちた関係となるよう願っています」と語った。

 「ようこそ大阪へ」と韓国語で記した手作りの横断幕で出迎えた岸和田市の杉山優子さん(59)は「無事到着して本当によかった。私の先祖もこうやって通信使船をわくわくして見たかも。船をきっかけに新たな交流が広がれば」と話した。

 13~16日の大阪・関西万博の韓国ナショナルデーにあわせた来航で、復元船は16日朝まで停泊した後、今度は釜山へ向けて出航する。

共有
Exit mobile version