《船井電機は2021年5月、出版会社「秀和システム」の子会社に買収され、秀和社長だった上田智一氏(51)が船井の社長に就任した。上田氏は24年9月末に辞任したが、創業者の遠縁で船井の破産を申し立てた船井秀彦氏側は、秀和による買収以降、約300億円が流出したと訴える。これに対し、上田氏はどう説明するのか。昨年11月14日、上田氏が朝日新聞の取材に応じた》
24年10月24日に破産手続きの開始が決まり、私が多額を使い込んだという誤解が広まりました。
内訳はすべて説明がつきます。金額の大きいものから挙げると、銀行への返済が180億円、創業者の長男で船井の支援者である医師への返済と株買い取り代として71億円、残りの49億円は関連会社への貸し付けや、M&A(企業の合併・買収)の資金です。
社内の投融資審議会か取締役会に諮っていますし、独断での支出はありません。着服や私的流用もありません。
船井電機の破産は、なぜ突然申し立てられたのか。なぜ経営陣同士が争っているのか。資産300億円はどこに消えたのか。キーマンたちに聞くと、言い分は食い違い、「私はだまされた」と口をそろえた。本当にだまされたのは誰なのか?
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【動画】混迷の船井電機 対立の構図を解説
ただ、経営者としては失敗しました。23年に脱毛サロンチェーン「ミュゼプラチナム」を買収し、美容機器の販売を進める「事業の多角化」を図りましたが、うまくいきませんでした。結果が出ない以上、この投資は失敗でした。
看板の液晶テレビ事業の改革も進めてきましたが、赤字経営を脱することはできませんでした。
チャレンジしたとはいえ、事業構造を転換できなかったのは代表権をもっていた私の責任です。解雇された従業員に申し訳なく思っています。
病院経営「私的な出費ではない」
《「船井の本業と関係がなく、会社の利益になっていない」。船井の元幹部らが上田氏をそう批判している支出の一つに病院経営権の取得をめぐる出費がある。23年11月に3億3千万円が支払われ、上田氏自らは病院を運営する医療法人社団の常務理事、医師である妻は理事長に就任した》
これからは美容脱毛でなく…