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 7月の参院選で自民党公認候補者への投票の見返りに報酬を約束したとして逮捕されたパチンコ店運営会社幹部の指示を受け、従業員に投票を呼びかけたとされる複数の店長が「違法だと思ったが、従わざるを得なかった」などと供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁と7県警の合同捜査本部は、会社ぐるみで、パチンコ業界の組織内候補だった阿部恭久氏への投票を促した疑いがあるとみて全容解明を進める。

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 パチンコ店運営会社は、1都7県で31店を展開する「デルパラ」(東京都港区)。合同捜査本部は26日、同社社長の山本昌範(本名・李昌範)容疑者(50)=韓国籍=ら幹部6人を公職選挙法違反(買収約束)の疑いで逮捕した。容疑は、各店の店長らと共謀して7月、阿部氏に投票する見返りに、従業員に現金3千~4千円を渡すと約束したというもの。いずれの認否も明らかにしていない。

店長らに「会社として応援」

 捜査関係者によると、山本容疑者の指示を受け、営業本部長の湯浅一行(46)、管理本部長の小西悌之(44)の両容疑者は7月2~3日、オンライン会議で各店長に対し、「会社として応援する」などと阿部氏の立候補を紹介。阿部氏の名前を書いた投票用紙の写真を送るといった手順を示し、店舗ごとに従業員らの投票状況を東日本、西日本の各ブロック長へ報告するよう伝えたという。

 捜査本部が各店長らへの聴取を進めたところ、一部の店長は「違法だと思ったが、本社の指示には従わざるを得なかった」などと話したという。捜査本部は、各店長の呼びかけに応じて実際に投票した従業員は約250人に上る可能性があるとみており、裏付けの捜査を進める方針だ。

阿部氏「非常に残念」

 デルパラは27日、朝日新聞の取材に「担当者が不在で答えられない」とコメントした。阿部氏は同日、自宅インターホン越しの取材に「(山本容疑者とは)一度電話で『よろしくお願いします』と話したが、会ったことはない。選挙違反がないようにしていた。どうして起こったかわからないが、非常に残念」と話した。

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