Smiley face
写真・図版
チタン合金を作る実験の結果を発表する高校生=2024年12月10日午後5時39分、松江市西川津町、堀田浩一撮影
  • 写真・図版

 松江市内の4校の高校生たちが島根大で、金属など「材料」に関する工学実験に取り組み、成果を発表した。

 「和鉄は現代の鉄に比べて純度が高くてさびにくいことが知られています」。10日、島根大松江キャンパスの次世代たたら協創センター。松江東高2年の塚本快斗さんが実験の経緯を記したポスターを前に説明し始めた。

 テーマは「和鉄に学ぶ鋼の防食技術」。グループ4人で、古来の製鉄法であるたたら製鉄で作られた和鉄がさびにくい理由を光学顕微鏡を使って調べた。

 その結果、和鉄にはさびにつながる不純物が少ないことを確認。その上で、さびが生じることももあるステンレス鋼の表面も調べると、さびにつながる不純物が和鉄より多いことをつきとめた。そこで、不純物を取り除けばさびを防げると考え、ステンレスをエタノールや硫酸など様々な液体につけて実験。得られた答えは「硝酸が一番効果がある」だった。聴き入っていた教授や大学院生らから拍手が湧いた。

 工学実験は、高校生に材料に興味を持ってもらおうと、島根大材料エネルギー学部と同大次世代たたら協創センターが実施。松江北、松江南、松江東、松江工業の4高校から23人が参加し、三つのテーマに分かれて実験や発表用のポスター作りに取り組んだ。

 「将来は医学系に進みたい」という松江北高1年の籠橋真紘さんは「医薬品(解熱剤)を合成してみよう」というテーマを選んだ。解熱剤に含まれる成分を合成する実験で、液体を攪拌(かくはん)したり、結晶化させたりした過程を発表した。聴衆から「実験で苦労したところは?」と聞かれた籠橋さんは、「手先の器用さも要求される実験もあって結構大変でした」と振り返った。

 生徒たちを指導した材料エネルギー学部の森戸茂一教授は「実験を通じて材料に親しんでもらい、材料工学の道に進む生徒が増えることを期待している」と話した。

共有