(23日、第107回全国高校野球選手権山口大会準々決勝 南陽工6―1山口県鴻城)

 2点を追う七回2死一、二塁。山口県鴻城の9番打者の野崎唯聖選手(2年)は弱気の虫を打ち消して、打席に入った。

 「絶対に打つ」

 3球目。内角高めのストレートを振り抜き、左前適時打を放った。「強気で向かったのが結果につながった」。昨夏の代表校に1点差に詰め寄る会心の当たりだった。

 昨秋と春の県大会は、ともに2回戦敗退。「おれたちには力がない。スーパースターもいない。どうすれば勝ち進める?」。夏に向けて仲間と話し合った結果、「束になって戦う」と決めた。

 どんな相手にも正々堂々と戦い、一人ひとりが自分の役割を果たそう。ピンチやチャンスの場面では、みんなで大きな声を出そう――。

 チームの約束事が浸透し、「思い描いた野球ができた」。ノーシードから8強入りを果たした。

 しかし、この日は終盤に連打を浴び、点差を広げられて敗れた。自身の捕球ミスが失点につながったと悔やむ。

 来夏の約束事は、もう決めている。

 「もっと、もっと、強い束になる」

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