核融合科学研究所の大型ヘリカル装置=2020年、岐阜県土岐市

 次世代のエネルギーとされる核融合発電について、国が安全規制の方針を25日に初めてまとめた。核融合特有の安全性があるとして、フランスがとる原発と同様の規制までは不要としたが、パブリックコメントでは懸念の声も寄せられた。国は2030年代の発電実証をめざしており、今後は具体的な立地も含めた議論が進むことになる。

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 岐阜県土岐市にある「核融合科学研究所」。そこから1キロ余り、同県多治見市の団地に住む千野純一さん(77)は、谷の向こうに見える建物を眺めながらつぶやいた。

 「団地から研究所はよく見える。当初は問題があると考えていたが、今はもっと活用してもらいたいと思っている」

岐阜県多治見市の住宅街から見える核融合科学研究所の建物(左奥)=2024年7月20日

 太陽の中で起きる核融合反応を人工的に起こし、エネルギーを取り出す核融合発電は、1950年代から研究が続いてきた。

 名古屋市で89年に設立され、土岐市に97年に移転した核融合研では、水素の同位体である重水素を燃料として使って高温のプラズマを生成する実験を計画してきたが、実際に始まったのは2017年。地元の同意が得られるまで10年以上、開始を見合わせた経緯がある。

 千野さんの地区も反対運動を…

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