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「ひろしまレポート」について会見する、右から秋山信将・日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長、湯崎英彦・広島県知事、阿部信泰・元国連事務次長=2025年4月18日午後1時18分、広島市中区、副島英樹撮影

 広島県などは4月18日、核兵器廃絶へ向けた各国の昨年の取り組みを評価した「ひろしまレポート」を発表した。「核軍縮の進展はほとんどなく、実質的な核軍拡競争が着実に進んでいる」と指摘し、ロシアのウクライナ侵攻や地域的緊張の高まりを背景に「核兵器使用リスクの脅威が増している」との懸念を示した。

 核保有国を含めた34カ国について、昨年1年間の動向を国内外の専門家らが分析した。「核軍縮」「核不拡散」「核セキュリティー」の三つの分野で評価している。

 核不拡散条約(NPT)加盟の核保有5カ国のうち、ロシアは全分野で最下位の評価だった。「(昨年も)核恫喝(どうかつ)を繰り返し、ロシアによる核兵器使用の可能性に対する強い懸念を国際社会にもたらした」とされた。

 核軍縮については、米国がロシアと中国にそれぞれ二国間の軍備管理協議を打診したが、進展しなかったと言及。「中国の核弾頭数増加のペースが加速し、北朝鮮は戦略的・戦術的両面から核戦力の強化を進めている」との評価を下した。

 核軍縮の分野で非核兵器国22カ国の中で1位だったのは、核兵器禁止条約第3回締約国会議の議長国を務めたカザフスタン。被爆国日本については「(同会議に)前回に続いてオブザーバー参加に消極的な考えを示した」と指摘し、9位の評点だった。

 会見で湯崎英彦・広島県知事は「核兵器が使用されてはならないという『核のタブー』が危機に瀕(ひん)している。日本政府には、日本被団協のノーベル平和賞受賞と被爆80年という機運をテコにして核軍縮・核廃絶への働きかけを強めてほしい」と述べた。

核軍縮に向けた核保有国の取り組みの評価

 ◆NPT加盟国=109点満点

 ・中国(500発)  6.8点

 ・フランス(290発)24.5点

 ・ロシア(5580発) -7.5点

 ・英国(225発)  22.5点

 ・米国(5044発) 18.4点

 ◆ほか4カ国=106点満点

 ・インド(172発)  4.0点

 ・イスラエル(90発) -1.5点

 ・パキスタン(170発) -0.5点

 ・北朝鮮(50発)   -13.7点

 ※「ひろしまレポート2025年版」から作成。カッコ内は核兵器保有数

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