納税者1人につき年1千円の新税の徴収が、2024年度から始まった。地球温暖化や災害の防止、生物多様性を守ることにつながる森林整備を目的とした「森林環境税」だ。スギやヒノキの森林がない都市部の自治体は、木材利用を増やしたり、森林が豊かな自治体と協力したりして、税金を活用しようとしている。
この新税は住民税に上乗せする形で徴収されている。今年度は森林環境税とほかの財源からをあわせて総額約600億円が市町村と都道府県に「森林環境譲与税」として配分される。この配分は、税の徴収に先立って、ほかの財源を使ってすでに行われていたが、今年度は22年度や23年度に比べて約100億円増える。
自治体への譲与額は私有人工林面積(55%)、林業就業者数(20%)、人口(25%)によって決まる。スギやヒノキなどを植林した人工林がある自治体はもとより、ない都会の自治体も人口が多いと額が多くなる。23年度はトップが横浜市の4億396万円、ついで浜松市3億2571万円、大阪市3億1062万円と続いた。浜松市は「天竜材」の産地としてスギを中心に約5万6500ヘクタールの私有人工林があるが、横浜市の私有人工林は市の面積の約1・2%の約507ヘクタール、大阪市はゼロだ。
森林が多い自治体だと、間伐や、あいまいになっている持ち主ごとの森林の境界の画定といった森林整備、担い手の確保・育成などに充てるケースが多いが、それが難しい森林がない自治体は、使い方の工夫を迫られている。
こうしたなか、横浜市は市立小中学校の建て替えや改修、増築の際に教室や入り口の内装、そして、図書館や公園など市民が利用する施設に国産木材を使うことに、全額を充てる方針を掲げている。
市内の約480校を、20年…