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極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の政党禁止手続きの準備を進める方針を決めたドイツの社会民主党大会=2025年6月29日、ベルリン、寺西和男撮影

 ドイツ政界で、排外主義的な主張を掲げて勢いを増す極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の政党活動の禁止を求める声が高まっている。連立与党の一角、社会民主党はAfDの主張が違憲の可能性があるとして、政府などが活動禁止に向けた手続きに着手するよう求めた。ただ、議会制民主主義の根幹を揺るがしかねず、慎重論も根強い。

 「AfDは大きく成長し、我々の民主主義に深刻な脅威を与えている」。ベルリンで6月に開かれた社民党大会で、党幹部らから活動禁止を求める声が相次いだ。政府などの代表者による作業チームをつくり、AfDの違憲性に関する情報収集など活動禁止に向けた手続きを始めるように求める動議を全会一致で承認。副首相のクリングバイル共同党首は「禁止手続きで一致団結したメッセージを発信できることをうれしく思う」と強調した。

 ドイツの憲法(基本法)は「自由で民主的な基本秩序を損ねたり、廃止したりしようとする政党は違憲とされる」と定める。連邦参議院(上院)、連邦議会(下院)、政府のいずれかが憲法裁判所に申し立て、憲法裁が違憲と判断すれば、政党の解散や代替組織の設立禁止を命じることができる。

 議論の引き金は、独情報機関…

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