夏の大会の開幕を1週間後に控えた土曜日の昼過ぎ。帯広北高校のグラウンド脇にある調理場に、プラスチック容器を持った球児がつま先立ちで鍋をのぞきながら並んだ。
4.5リットル入りの巨大容器を持つ選手もいる。目当てはマネジャー2人が丹精込めてつくった「できたて、ほかほか」のカレーライスだ。
「今日はどのくらい?」「ルーは端に寄せとこうか」。
野球部の安土葵マネジャー(3年)が、一人ひとりに声をかけながら手際よくよそっていく。
練習の合間、1時間ほどで作り上げた。コーチの実家から差し入れられたジャガイモやタマネギと、監督がセールの日に買った鶏肉にひき肉を加えて、片時も離れず丁寧に混ぜながら炒めた。
2種類の中辛ルーをブレンドし、隠し味にめんつゆを入れ、コクを出した。「カレーうどんを作った時に入れたら、おいしかったんで」と榎本萌七(もな)さん(2年)が、はにかむ。
中学生の頃から仲良しの2人が昼食づくりを始めたのは、昨秋のこと。コロナの流行前は、安土さんの先輩たちが、昼食をつくっていた。「寮生のお昼ごはんを作って、少しでもチームの力になりたい」と丹代(たんだい)零知(れいち)監督(30)に打診した。
部員33人のうち、約3分の…