ノーベル平和賞に決まった日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2日、ノルウェー・オスロで10日にある授賞式を前に東京都内で会見した。代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)が「今度の受賞が、ヨーロッパでも大きな核兵器廃絶運動が起こるきっかけになれば」と期待を語った。
日本被団協への授賞理由は「核兵器のない世界の実現に尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」というものだった。
13歳の時に長崎で被爆し、日本被団協の事務局長を延べ20年務めるなど活動してきた田中さんは、授賞式で20分間のスピーチをする予定。原稿を準備しながら、亡くなった被爆者の仲間や市民活動家らの顔が浮かんだという。「(当時の)仲間たちがいないことがすごく残念。でも、被爆者たちはやがていなくなる。後を引き継ぐ若者に期待する言葉を最後に入れたい」と話した。
広島で被爆した事務局次長の児玉三智子さん(86)は「被爆者がどんな思いで今まで生きてきたか。命を奪われた方の思いと共に世界に伝えていきたい」と話した。
授賞式には日本被団協の被爆者や関係者など30人が出席。式に合わせて現地入りする被爆者や被爆2世、NGOなどを合わせると80人以上が渡航する。現地では被爆体験の証言なども予定している。