治療が中断されたままだと訴える患者の口の中。人工の歯を取り付けるためのねじ状の部品を埋め込んだ段階で、予約がとれなくなったという=2025年2月10日午後4時24分、千葉市、芹沢みなほ撮影

 インプラント専門をうたう歯科医院の元院長が、患者から金をだまし取った詐欺の疑いで逮捕された。他にも詐欺被害を訴える患者がおり、千葉県警は総額1億円以上の被害を把握しているという。刑事事件とは別に、治療が中断されたままの人も多く、被害者らは「大切な歯を失った上、大金を奪われた」と憤る。

 逮捕されたのは、千葉市中央区の「高橋デンタルオフィス」(閉院)の院長だった高橋仁一容疑者(58)。

 同市に住む40代女性は2017年ごろから、夫とともに同院でインプラント治療を受けた。

 夫は当初、治療が必要な歯は1本、費用は40万円と言われた。だが「歯の矯正から始めないと、いずれ他の歯も治療が必要になる。総合的に診させてもらいます」という高橋容疑者の説明を信じ、歯列矯正もすることに。その後、銀歯を全てセラミックにすることも勧められ、「虫歯になった場合の治療費やクリーニング代を含め、生涯保証する」と言われ、合計約350万円を支払った。

 女性自身も4本の歯でインプラント治療が必要と言われ、迷ったものの「生涯保証」を信じて150万円を支払った。

「特別な症例なので」

 20年ごろ、「インプラント…

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