Smiley face

 「世界中の漫画家たちが戦争について思うことを描いて、それを戦争を知らない子どもたちが読んで、大きくなったときに、いい発信をしてくれるんじゃないかと期待しているんです」

写真・図版
ちばてつやさん=2025年7月15日、東京都練馬区、吉田耕一郎撮影

 17歳でデビューし、今も連載を続けるちばてつやさん(86)は「漫画には平和をつくる力がある」と信じている。

 だが、自身は長い間、戦争を描けなかった。

 終戦から80年。戦争の「リアル」を漫画で次世代につなごうとしている3人を取材しました。今回は「あしたのジョー」などで知られる、ちばてつやさんです。

 旧満州(現在の中国東北部)で終戦を迎えた。6歳だった。

 「戦争の記憶が漫画の題材になると思わなかったんですよ。悲惨な、残酷な、悲しい話ばかり。漫画っていうのは、読んだ人が元気になって、明日、主人公のように元気に生きるぞというものだと思っているので」

ヒーローばかりの戦記ものに一石を投じた作品

 思いが変わったのは、戦後20年ほど経ったころだ。戦記ものがブームになっていた。

 「みんな主人公がヒーローな…

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