「世界中の漫画家たちが戦争について思うことを描いて、それを戦争を知らない子どもたちが読んで、大きくなったときに、いい発信をしてくれるんじゃないかと期待しているんです」
17歳でデビューし、今も連載を続けるちばてつやさん(86)は「漫画には平和をつくる力がある」と信じている。
だが、自身は長い間、戦争を描けなかった。
終戦から80年。戦争の「リアル」を漫画で次世代につなごうとしている3人を取材しました。今回は「あしたのジョー」などで知られる、ちばてつやさんです。
旧満州(現在の中国東北部)で終戦を迎えた。6歳だった。
「戦争の記憶が漫画の題材になると思わなかったんですよ。悲惨な、残酷な、悲しい話ばかり。漫画っていうのは、読んだ人が元気になって、明日、主人公のように元気に生きるぞというものだと思っているので」
ヒーローばかりの戦記ものに一石を投じた作品
思いが変わったのは、戦後20年ほど経ったころだ。戦記ものがブームになっていた。
「みんな主人公がヒーローな…