「これでやっと、安心できますわ」

 大阪府枚方市内にある公営住宅。一人で暮らす男性(82)は、そう言って笑顔をみせた。

 6月初め、頼れる身寄りがいない高齢者を対象に、市社会福祉協議会(社協)が実施する「ひらかた縁(えん)ディングサポート事業」を契約した。

 この事業では、定期的な見守り・安否確認のほか、付き添いや緊急連絡先を引き受けるなど入退院時の支援、亡くなった後の葬儀や納骨、家財処分など「死後事務」の提供も受けられる。

頼れる身寄りがいない男性(左)は、入退院時の支援や、死後の葬儀の執行などを一括して受けられる枚方市社協の「縁ディングサポート事業」を契約した。社協の延原慎哉さん(中央)、越中博明さんと話す=2025年6月13日、大阪府枚方市、山田史比古撮影

 ただ、本人の死後、口座にお金があっても、社協がそれを葬儀や家財処分などを実施した業者への支払いに使うことはできない。そのため、あらかじめ費用を社協に預ける必要がある。預託金の額は、医療費の清算用を含めた定額50万円と、家の広さや荷物の多さに応じた家財処分の見積額。また、入退院時の支援にも、その都度、1回1千円など一定の利用料がかかる。

家族はいても「疎遠」

 男性は、身寄りに頼れず一人で暮らしているが、家族がいないわけではない。

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