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集会に参加した、被害者遺族のエリザベス・アティロさん(中央)=2025年8月14日、マニラ、大部俊哉撮影
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 第2次世界大戦中に旧日本兵から性暴力を受けたフィリピン人の元慰安婦の家族や支援者が14日、戦後80年を迎えるのに合わせ、集会を開いた。家族は「もう時間がない」と訴え、日比両政府に早期の補償や支援を求めた。

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 参加したエリザベス・アティロさん(68)は取材に対し、「私の母が受けた苦痛が、この世界で二度と起きないよう願っています」と話した。

 母エステリタさんは被害者の一人で、日本政府からの謝罪と補償を待ち焦がれたまま、昨年11月に94歳で亡くなった。

 母の遺言に従い、日本の首相の公式謝罪や、フィリピン政府からの支援、教科書への記載を求める活動を続けている。

 「生存者の多くが寝たきりになっている。日本政府は一刻も早く報いを与えてほしい。そうすれば、母たちの魂は安らかに眠ることができる」

 集会に参加した複数の支援団体によれば、被害者は推計で約1千人に上ったが、現在、把握できている生存者は約30人。団体を統括するシャロン・シルバ氏は「世界各地で戦争の脅威が広がる中、戦争がもたらす危険性や残虐性を若者に継承することは、緊急の課題だ」と危機感を示した。

1年以上、監禁された人も

 フィリピン政府の報告書によ…

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