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新著の「蝮の子の唄」を手にする作家の姜龍一さん=2024年12月25日午後3時3分、東京都武蔵野市、鈴木峻撮影
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 作家の姜龍一(カンヨンイル)さん(36)は昨年暮れ、詩集を出した。自分のアイデンティティーをめぐる青年期の葛藤を33編におさめた。

 東大阪市生まれの在日韓国人3世で、母親からは「龍一は韓国人なんだよ」と言われて育った。しかし、民族学校に通ったものの日常会話は日本語。周囲が口にする「祖国」や「同胞」という言葉に具体的なイメージは浮かばなかった。

 ルーツの国に行けば何かが腑(ふ)に落ちるのではないかと、高校卒業後の2006年、韓国の大学に進んだ。ところが想像と違う形で「出自」を意識することになった。

 覚えた韓国語であいさつする…

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