手元に450ドル(約6万5千円)あるとしよう。
再生可能エネルギーに投資することで二酸化炭素排出量を減らす慈善団体に、そのうちいくらを寄付し、いくらを手元に残すか。
これは、最近のある学術実験で出された質問である。実際に、無作為に選ばれた参加者にはお金が配られた。
平均的な人は、約半分のお金を渡し、残りを自分のものにした。
しかし、もしあなたが事前に、他の大多数の人々が気候変動対策は本当に重要だと考えていると聞かされていたらどうだろう。慈善団体にもっと寄付しただろうか?
二つ目の実験でこれが検証された。
現金を参加者に手渡す前に、「79%の市民が気候危機と闘うべきだと考えている」と伝えた。事前の質問では、人々はその割合を61%と大幅に過小評価していたからだ。本当の支持率を知らされたことで、寄付額は1人あたり16ドル(約2300円)増えた。
この実験は米国で行われたが、気候変動対策は人気がないという幻想は世界的なものだ。
この実験のような、事実を伝えるコミュニケーション・キャンペーンは、手軽で拡大可能で、気候変動と闘うための最も強力なツールのひとつになりうる。心理学の研究によれば、誤解を正すことで、抗議活動への参加からドナルド・トランプ氏への投票に至るまで、さまざまな問題で人々の意見を変えることができるという。
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「私たちは、潜在的な気候変動運動の巨大な可能性の上に座っているのです」と、米イエール大学のアンソニー・ライゼロウィッツ教授は言う。「認識のギャップを打破することで、人々は自分たちは一人ではないこと、そして実際に世界的な運動があることを理解することができるのです」
ドイツ・ボン大学のテオドラ・ボネバ教授らは、地球規模の巨大調査を行い、世界中の人々が気候危機と闘うための行動を望むことで一致しているにもかかわらず、サイレントマジョリティーにとどまっているという驚くべき事実を明らかにした。
「数字を見て、私たちは驚きました。私たちも支持を過小評価していました」
- ガーディアン紙の原文はこちら
研究チームは、世界中の89…