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東京湾岸の埋め立て地に立つフジテレビ(中央奥)。手前のレインボーブリッジで都心部と結ばれている=2021年、朝日新聞社ヘリから

記者コラム 「多事奏論」 オピニオン編集部・田玉恵美

 1980~90年代に小中学生だった私の子ども時代は、フジテレビ全盛期にそのまま重なっている。

 人並みのテレビっ子で、どの局にも思い出の番組はあるが、とりわけ輝いていたのがフジだった。

 クイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」では、リポーターの「ひょうきん由美」こと益田由美アナウンサーと一緒に世界を旅した気になった。

 「志村けんのバカ殿様」を見たくてプロ野球中継を見ている父ともめたこともある。平日昼で見られない「笑っていいとも!」は、日曜午前に1週間分をまとめて放送する「増刊号」を妹と必ずチェックした。

 ドラマ「東京ラブストーリー」では、男性に寄りかかる関口さとみではなく、自立している赤名リカのように生きねばと心に誓った。

 学校でも先生が「これからの時代は女性も男性と同じように……」などと力説していたが、大事なことはリカを演じた鈴木保奈美に教わったのだ。信州の田舎の茶の間のテレビで。

 大人になってからはフジのノリについていけなくなった気はした。それでも、かつて人生観にまで影響を受けたことは否定しがたい。

 そのフジが近年は視聴率で長く低迷し、経営もいま大きな逆境にある。あれほどの輝きは、なぜかくも色あせてしまったのだろう。

空気が変わる

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 「フジテレビは良くも悪くも…

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