(26日、第107回全国高校野球選手権大阪大会準決勝 東大阪大柏原5―4東海大大阪仰星=延長十回タイブレーク)
東海大大阪仰星の捕手、藤田心一主将(3年)が悔やんだのは、延長十回タイブレークでの暴投からの失点。低めの球を止めることができず、後逸した。三塁走者が生還し、次の失点にも響いた。
「少しの油断が負けにつながった。もっと反応できるように練習しておけば。もっと多くの球を受けていれば……」
目を真っ赤にして声を振り絞った。
だが、上林健(かんばやしつよし)監督の見方は違う。「ミスしようとしてミスをしたわけではない。このチームは藤田が軸だった。ここまでよくまとめてくれた」
2年生だった昨夏は、一塁手の4番打者として決勝に進んだ。帽子のつばに「挑戦」と書き込んだ最後の夏は、本職である捕手で3番打者。攻守ともに引っ張ってたどりついた4強だから、もっと胸を張っていい。
でも、悔しくて、涙しか出てこない。そんな中で、笑顔を見せたのは、決勝に進んだ東大阪大柏原の捕手、竹本歩夢主将(3年)の存在について尋ねた時だ。彼も4番で主軸をはる。
「中学から親友で、同じ捕手として配球や打撃のことを話してきた。仲が良いのでどうおさえるか楽しみでした」。その言葉通り、竹本主将を無安打に抑えた。
試合直後のあいさつ。藤田主将はまっさきに竹本主将と握手した。「決勝も頑張ってね」。甲子園出場の夢を親友に託した。