自宅周辺が燃え、避難所に逃れてきた女性は、夫を東日本大震災で亡くしたという=2025年2月27日午前9時半、岩手県大船渡市盛町、三浦英之撮影

 岩手県大船渡市の山林火災は、27日午前も複数の場所で延焼している。市などによると、26日夜の時点で少なくとも84棟の建物が焼けた。住民の多くは2011年の東日本大震災も経験しており、やりきれない思いでいる。

 「夫を津波で失った。今度は火事で家まで失ってしまうのか……」。大規模な山林火災が起きた大船渡市三陸町の小路地区で暮らす漁業手伝い・炭釜サチ子さん(85)は、避難所となっている大船渡市民文化会館「リアスホール」で、ぼうぜんとした様子で記者の取材に答えた。

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 「あの状況だと、もう家はだめだ。これからどうすればいいんだい……」

 26日は夫と数十年前に建てた木造2階建ての自宅にいた。正午過ぎ、前日に同県陸前高田市と大船渡市の境界で起きた火災がようやく鎮圧されたとの防災無線が流れ、一息ついていると、「また火事が起きたから、綾里地区に避難して」と知り合いから連絡が入った。

■扉が吹き飛ばされそうなほど…

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