中国の高さを生かした攻撃をはね返すGK小久保(中央左)ら日本の選手たち=AFP時事
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(16日、サッカーU23アジア杯1次リーグ 日本1―0中国)

 「想定外のアクシデント」を、いかに想定できるか。それが初戦のテーマだった。

 前半17分、試練は訪れた。ボールのないところで相手を倒し、DF西尾隆矢が一発退場。序盤から1人少ない10人での戦いを強いられる展開になった。

 ただ、「想定外」ではなかった。MF松木玖生は打ち明ける。「試合前のミーティングから、退場者が出たときのことも話していた」

 退場者が出た場合を考え、前日にGKコーチを中心に10人でセットプレーを守る練習もしていた。西尾のようにヘディングが強い選手が抜けた場合、誰が穴を埋めるかまで確認済みだった。

 この日好守を連発したGK小久保玲央ブライアンは、普段プレーするポルトガルと比べ、こう言う。「海外だったら、そこまでやっていない。細かい対応力が、日本の良さ」

 事前に頭に入れ、準備していたからこそ、高さで勝負してきた中国の攻撃をはね返し続けられた。終盤、中国が身長2メートル超えのGKをフィールドプレーヤーで起用する奇策にも動じなかった。

 試合後のロッカールーム。西尾が全員の前で「申し訳ない」と謝った。自然と「大丈夫」と声があがった。松木がその思いを代弁する。「チームは彼のことを悪く思っていないし、逆に士気が高まった」

 勝ち点3、だけではない。苦しみながらつかんだ勝利は、若いチームに一体感ももたらした。(ドーハ=照屋健)

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