世界自然遺産の登録から来年で20年となる北海道・知床半島。その近海の羅臼沖で、深海魚やエビの新種が相次いで発見されている。深海生物に詳しい福島県の水族館が採集調査を進めたところ、この約10年で15種の新種が見つかった。なぜ未知の深海生物が続々と現れるのか。
羅臼沖の深海から漁船が引き上げた「エビかご」の中に、長い角を持つ赤いエビが入っていた。全長は15センチほど。
「きれいなエビだな」
漁船に乗っていた福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」上席技師の松崎浩二さん(50)は思った。
しかし、図鑑などを調べても、どこにも載っていない。生きた個体をクーラーボックスに入れ、千葉県立中央博物館(千葉市)に運んだ。
「見たことのないエビなんで…