天下人となった豊臣秀吉の弟・秀長(1541?~91)。小説やドラマでは「温厚で冷静沈着」な人物として描かれるが、実際にはどうだったのか。来年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公となる彼の実像に迫る本「図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石(ちゅうせき)」(戎光祥(えびすこうしょう)出版)を、奈良大学の河内将芳(かわうちまさよし)教授(日本中世史)が刊行した。
河内さんは室町~戦国時代の京都などの都市史を研究。大和国(奈良県の旧称)の郡山城主だった秀長には、奈良の町人に金や米を貸し付け、利子を金銀で払わせる「奈良借(ならかし)」という施策で資産を築いたことに以前から注目していた。
「本の執筆依頼を受けたのは昨年2月。秀長が大河ドラマの主人公になると発表されたのは3月で、偶然に驚きました」
天下人の分身?
まず、秀長について書かれた…