新種の「クロシオアマノリ」=二羽恭介・東京海洋大教授提供

 食用になる新種の野生ノリを、東京海洋大学や水産研究・教育機構などの研究チームが発見した。関東地方の太平洋沿岸などに分布し、比較的高い水温でもよく育つのが特徴。近年、温暖化による海水温の上昇で日本のノリの生産量は減少しており、新品種の開発につながると期待がかかる。

 国内で養殖されているノリの9割以上は、もともと、主に北海道や東北地方を中心に分布していた「スサビノリ」という北方系の種類で、高い水温が苦手だ。

 今回発見された新種のノリは、スサビノリと同じ「ウシケノリ科」の一種。香りが強く、比較的高い水温でもよく育つ性質があるという。研究チームは「クロシオアマノリ」と命名した。

 これまでに、神奈川県の江の島、千葉県の房総半島、東京都の伊豆諸島で分布が確認された。今後、四国や九州にも分布しているかどうか、調査を進める方針だ。

 二羽恭介・東京海洋大学教授(藻類学)は「近年は全国的に、ノリの不作が続いている。新種をもとに品種改良を進め、温暖化に強いノリづくりに取り組みたい」と話している。

 研究成果は、日本藻類学会英文誌(オンライン版)に掲載された。

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