「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への登録が決定した直後、各国の委員らに祝福される日本側の関係者=2024年7月27日、インドの首都ニューデリー、石原孝撮影 この夏、「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)がユネスコ世界文化遺産に登録された。私は日韓外交当局間の水面下交渉を取材した。 佐渡の鉱山は戦時中、朝鮮半島出身者が働いており、韓国政府は「強制労働被害の現場」と主張。日本側は自民党議員の一部が「歴史戦だ」と反発し、懸案となっていた。世界遺産登録は全会一致が基本原則で、日本は委員国である韓国に同意を求めていた。 ユネスコ会合が1週間後に迫る7月中旬、交渉に関わる日本政府関係者は緊迫した様子でこう漏らした。 「『強制性』の論点は本当に…