佐藤卓さんがスタジオで語ります!【申し込みはこちら】
オンラインイベント「伝わるデザイン 佐藤卓さんと考える」を8月30日から配信します。「明治おいしい牛乳」などを手がけたグラフィックデザイン界の第一人者、佐藤卓さんをお招きし、編集局デザイン部のデザイナーやエンジニアと語り合います。そもそも「伝わる」とはどういうことなのか、ともに考えます。
SNSの急速な普及で偽・誤情報が増えるなか、事実や物事の本質を見極める力が一人ひとりに求められる時代になってきました。NHK・Eテレ「デザインあ」の総合指導でも知られるグラフィックデザイナーの佐藤卓さんは、「デザインマインド(デザイン的思考)」を育むことの重要性を説きます。佐藤さんにその真意を聞きました。
――子どもの教育現場にデザインを採り入れようとしたのはなぜでしょうか。
「いろんな仕事をしてきて、『世の中で、デザインと関わりのない物事はなにひとつない』ということに気がつきました。部屋のレイアウト一つとっても、文字も、デザインです。テクノロジーもデザインを経ないと、(実際に使う)人のためになりません。日常生活の中のありとあらゆるところにデザインが存在するのです。
すべての人が様々なデザインのなかで生活を営んでいく以上、子どものころからデザインマインドというものを育んだ方がいいんじゃないかと考えました。デザインというものがわからない時から、身の回りにあるデザインってなんか面白いぞ、というきっかけを大人が提供するべきだと。『デザインあ』はデザインの種を子どもたちに渡すものなのです。どう育てるかは、人それぞれだと思いますが、種はできるだけ早いうちに渡した方がいい」
――デザインマインドは物事の本質を見極めるヒントになるということですか。
「デザインには当然、質の高いものもあれば、質の低いものもある。デザイナーはちょっと先の未来を考えて、人がそれを使うことを想定して、使いやすさ、わかりやすさ、安心できるか、などを考えながらデザインします。商品に限らず、このことは、情報の伝え方にも通じると思います。信頼できる情報なのかを見極めるためにどう伝えたらいいのか。伝え方に神経がちゃんと使われているコンテンツは、信頼性が高いと思います。信頼できる情報なのか、そうではないかを見極めることにもデザインマインドは生かせるのです。デザインという言葉には、多くの意味が含まれますが、その一つとして「美意識」も大切な要素ですが、濁っていない情報と濁っている情報を見抜く力、つまりデザインマインドがひとつのフィルターになれるかもしれません」
――デザイナーも本質を見極める力が求められているのですね。
「あらゆる課題にデザイナー…