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高畑勲展の会場入り口では「火垂るの墓」の節子が描かれた看板が出迎えてくれる=2025年6月26日、東京都港区、小川尭洋撮影

 生誕90年を迎える高畑勲監督(1935~2018)の足跡を振り返る展示会が、東京都港区の麻布台ヒルズギャラリーで開催されている。この夏、国内配信が解禁となるアニメ映画「火垂るの墓」のコーナーが目玉のひとつで、リアリズムにこだわり続けた高畑監督の真骨頂がうかがえる内容となっている。

 展示会は、「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」(NHKなど主催)。初期の「アルプスの少女ハイジ」や晩年の「かぐや姫の物語」といった名作の関連資料を時系列でたどり、それぞれに込められた思いに迫る内容だ。10月からはフランスのパリに巡回する予定だという。

 150点以上が並ぶ「火垂るの墓」コーナーの目玉は、初公開となる旧日本海軍の重巡洋艦「摩耶(まや)」の下書き原画。後の「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明さんが、当時の制作スタッフとして描いたものだ。開催決定後に個人宅で保管されていたことが判明し、急きょ公開が決まったという。

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「火垂るの墓」の原画スタッフだった庵野秀明さんが手がけた旧日本海軍の重巡洋艦「摩耶」のレイアウト画。右上には1988年3月18日付(公開1カ月前)のスタジオジブリの印がある(C)野坂昭如/新潮社,1988

 摩耶は、主人公・清太の父親…

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